シアターコクーンで東京国際映画祭『10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス』,『10ミニッツ・オールダー イデアの森』。『着信アリ』でもそうだったけれど,襟川クロの司会がこれまた珍妙でして…このテの輩は,リリコに限りますよ,なんつっても。
原題はそれぞれ『the trumpet』と『the cello』で,テーマ曲もそれぞれの楽器を使っててわかりやすいのに,どこがどう化けたかこの邦題。『人生のメビウス』の方が慣れ親しんだ監督が多く,さすがとうならされる。ビクトル・エリセは,10年に一度しか撮らないのにたった10分の短篇,なのに…というか,だから…というか物凄い密度でおっそろしい程の出来。これだけでも観る価値はあると思う,つーか必見,それもフィルムでスクリーンで。で,いちばん好きだったのはヘルツォーク,語りの口調がいいんだなあ。アマゾン奥地に取材したドキュメンタリーで,いつキンスキーが現れて剣を振り回してもおかしくない感もヨシ。『イデアの森』は『人生のメビウス』が良すぎたせいかちと見劣り,じゃないな,なーんか観てて疲れた。マイケル・ラドフォードの短篇が藤子Fのスコシ・フシギみたい。
この10分って時間は監督の個性がモーレツにでてきて,同じ10分でも劇中/実際の時間がぜんぜん違ってみえる。この映画のテーマは『映画にとって共通の素材である「時間」』らしいが,イヤって程ビンビンに伝わってきますホント。もっかい観ようかな。