女王蜂の怒り

新東宝時代の石井輝男監督作。任侠ともアクションともつかぬ何とも珍妙な映画でした,よ。

『肉体女優殺し』も『女体桟橋』もモノクロスタンダードサイズだったから,いきなりカラーシネスコでおどろいた。で,冒頭のヘンチクリンなダンスシーン→宇津井健のまるでキレのないアクションにえー!?と思ってると,始終このパープリンの役立たずな調子(ある種キチガイ的)が続くわけ。通り名である「ハリケーンの政」を名乗るところと,拳銃と喋りながら悪徳社長を脅すとこなんかはオモロイ。そういうパープリンっぷりは実はラストのどんでん返し(って言っていいのか?あまりに唐突過ぎて失禁しそうだった)のためのお膳立てだというのはわかるけど,やっぱりかなり変で,ナニか石井輝男節炸裂前夜みたいな雰囲気がある。見所は天知茂,つかみどこのない文太(若い!)と比べてものすごい貫禄,さすが巧いし目がギラギラしてて釘付け。あとは,昼間に撮影したモノクロ映像を青黒くしただけで「深夜」にしちゃってるシーンがよかったなあ。