『SPACE BATTLESHIP ヤマト』キムタク→メイサへ波動砲

ヤマト乗艦証

『SPACE BATTLESHIP ヤマト』初日初回に観てきました。

木村拓哉・黒木メイサ・柳葉敏郎(あと関係ないけど織田裕二)が映画俳優として出演していることを受け入れられるかどうか?それに尽きる映画だと思いました。この御三方(あと関係ないけど織田裕二)は,演技をしない...といいますか,何をしてもその人本人でしかないと思うのです。

そんな俳優陣の中,最優秀俳優賞はアナライザー!(の中の人),緒方賢一さんの声は神がかりでした。

以下,ネタバレ...といいますかキムタクの種バレを含みます。

バラバラな思い入れ

脚本は駆け足になってるけど,アニメの長い話や欠かせないネタをうまくまとめてた気がしました。SF設定とCGは原作アニメといろんな最近のSFドラマ・映画が好きな人達が,一所懸命つくったのかなと思います。

でも,セット(照明も?)がダメダメです。たとえば地球での避難生活の様子,セットと背景CGの質感が全然違っててジオラマ感満載。それに,ヤマトの巨大さが致命的に伝わってこない...戦闘機の格納庫なんてカーフェリーのデッキみたいだなー,と思っていたら,本当に本物のフェリーでロケしてたそうです。ロケ地をそのままの印象で観客に伝えるSF映画って...

まあ『ヤマトは,荒廃した地球で必要なくなった船という船をかき集めて建造された』という脳内設定で補えばいいと思いました。

という具合に,脚本・VFX現場・セット・衣装・監督がバラバラの思い入れで仕事してつなげてみました...という印象を受けました。脚本・監督は夫婦なのにね...

スティーブン・タイラー

『アルマゲドン』と違って,スティーブン・タイラーのソロ曲はエンドロールまで出てこないので,その点は安心。でも,「デスラー:伊武雅刀」「ナレーション:ささきいさお」「イスカンダル(=スターシャ):上田みゆき」までやりながら,いさおに歌わせないのは甚だ疑問。それだけで印象は大きく変わるのに...

スティーブン・タイラーを動かすのにかかった金を,セットに振り分けておけばと残念に思います。

キムタク映画

キムタク映画なので,基本的に木村さんがいる場所でしか話が進みません。ガミラス艦の中身や,木村さんがコスモゼロで自由落下しているときのヤマト艦内も描かれない。最たるものは「第三艦橋切り捨て」,ヤマトを守るために6人の部下を見捨てる艦長代理としての大仕事。これって,絶対に第三艦橋に閉じ込められた安藤達の絶望を描かなきゃだめですよね。安藤はいかにもなキムタクからみで死亡フラグを立ててるのに,回収がこれでは浮かばれません。

結局,木村さんと黒木さんがチョメチョメするための道具にしかなってない...

キムタクの波動砲

木村さんは,第三艦橋にミサイルを撃ったことに落ち込み泣いている黒木さんの部屋を訪ねます。トレンディな会話で慰めたのち,いきなりブチュー!っとこれまたトレンディな接吻をかまします。つづいてもひとつブチュー!ここでヤマトはワープに突入!ワープのブレとスローモーションのエフェクトの中,黒木さんを押し倒すキムタク!トレンディです。

え?でもチューだけ?それともヤッたの?

...観客の誰もが息を飲みます。場面は変わってワープを終えたヤマトの艦橋,かすかにファスナーをあげながら艦長代理の木村さんは戻ってきます。うーん,確証が無い。

答えがわかるのは最後の最後。放射能を除去し緑が戻った地球に佇む黒木さんを「ママ!」と呼ぶ子供。木村さん,1発1中で妊娠させる波動砲を黒木さんに発射していました。ヤマトがワープに突入する姿は木村さん自身が黒木さん自身に突入!する隠喩だったのです。

こう考えると,チョメチョメした後も「古代さん」と敬語で呼ぶ黒木さんに,鳥肌実の「春夏秋冬,敬語でセックス」を思い出します。ワープ中にチョメチョメしながらツンデレさらに敬語...これは斬新だ!

ギャラクティカ疑惑

確かにギャラクティカにそっくり,先方は劇場映画でなくテレビドラマ作品というスケールの違いが切ないところ。他にも,木村さんが先導するイスカンダル降下作戦は『スタートレック』,イスカンダルでの白兵戦は『スターシップ・トゥルーパーズ』でした。別にそれはそれで構わないし,Aerosmithなどを聴いていなくてもB'zファン,JourneyやKansasを聴いていなくてもTHE ALFEEファンみたいな楽しみ方もあります。ただ「日本人が初めて世界に挑むSFエンターテインメント」と言うんなら,『宇宙からのメッセージ』くらいの無茶はやってほしいところ。

※ちなみにB'zもTHE ALFEEもけなしてるつもりはございません。last.fmの65000再生中,B'z:58回 THE ALFEE:43回も聴いてます。アルフィーに至っては土砂降りの野外ライブも行ったくらい。

もっとパクればいいのに

上の「バラバラな思い入れ」と同じことだけど,原作アニメに引きずられる部分と21世紀のSF映画にしたい部分とを監督が舵取りできてない印象を受けます(後者にしたい様子です)。70年代にアニメで描く2199年と,21世紀に実写で描く2199年は違ってて欲しいんですよね。これだけ最近のSF映画を引用するなら『スタートレック』の「リブート」手法をもっとパクればよかったのに。

書き殴り

書き殴り