パラレル同窓会で二代目スポック襲名式
試写会に当選して観て来た,J.J.エイブラムス監督『スタートレック』。
レナード・ニモイ演じるスポックが出演しているが,78歳になるニモイ=スポックが,これまでのスタートレックシリーズから,本作に始まるこれからのスタートレックへの橋渡しをしている。最終回まで観たTVシリーズはTNGとENT,映画は一通り...程度のファンだけど,スタートレックファンには感じるところの多い映画だと思った。
続きを読むでネタをバレ
この映画の物語の発端は,未来のスポック(老スポックとしておく)が過去,カークが産まれる頃の歴史に干渉すること。STシリーズでは歴史の大きな改変が起こると,なんとか元に戻して影響を最小限に抑えていたと思うんだけど,本作ではそのまま放置される。STにはシリーズとしての面白さがあるけど,過去・未来の正史に縛られて窮屈になってしまうことも多かったと思う。本作でTOS直前の段階で歴史が改変されている(バルカン星が消滅等)から,次回作以降はこれまでのSTシリーズに縛られることはない。とても巧く足枷を外し,今後につなげたと思う。
そこで大きな役割を果たしたのが老スポックというのも面白い。劇中でTOSからネメシスに至るST正史を知っている者は老スポックだけということになる。映画は彼による"Space, the final frontier..."という例のナレーションで幕を閉じる。まるで『グラン・トリノ』でのクリント・イーストウッドのように,今後の世代にSTを引き継いだように見えた。また,観客も老スポックと同じくST正史を知っているから,一緒になってthe final frontierを見つめている気分になる。
ちょっと違うけどマウンテンサイクルに黒歴史として埋められたガンダムシリーズ,のような印象を受けた。
と,固いことばかり書いたけど,物語自体は「もうちょっと頭の良い解決があるんじゃないの?未来なんだし」なところも多い。それがSTらしくて面白いんだが。ギャグの間やカークが怪物に出会ってさあ大変等々STらしさたっぷり。
主要キャラクターの人選もとても良い。特にチェコフのロシア語訛りとスコット=サイモン・ペッグ。スポック母が妙に若くて可愛い!と思ったら万引きノニーちゃんでした。ハゲ頭におどろいたロミュラン人,そのリーダー・ネロは草彅メンバーのよう。連邦の女性ユニフォームはしっかりマイクロミニで可愛いのも素晴らしい。ディテールしっかりのエンタープライズをスクリーンで観られるのもST映画の醍醐味でございます。
『LOST』と『M:i:III』の心臓強打マッサージが無かったのが残念...だけど,カークがスポックに船外退去させられ降りた星で"HAKAISHA"によく似た(と思う,記憶が歪んでるかも)怪物が出てくる。まさかこれを『クローバーフィールド』の怪物の由来として,『J.J.エイブラムスサーガ』にしてしまう魂胆?...なわけないか。